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【どっちがおすすめ?】インパクトとドリルドライバーの違い

 

インパクトドライバードリルドライバー、DIYで初めて購入するにあたりどっちを買ったらいいか悩んでいる方、または実際現場で使っているけどよく違いがわからず使っている方など、この2つの違いが気になり検索している方は多数いて、またそれに対して解説記事や動画を出している方もたくさんいます。

これらで解説されている内容は全く間違っていないのですが、私目線だと少し違うかなと思う面もあるので、今回は個人的な意見を語っていこうかなと思います。

(参考)

マキタ インパクトドリル TD173

マキタ ドリルドライバー DF487

 

サイズ感

基本的には構造がシンプルなインパクトの方がサイズが小さく軽いです。ドリルドライバーはキーレスチャックと機械クラッチが付いているモデルがほとんどなので、その分ヘッドが大きくなっています。

10.8Vにはコンパクトなビット式のドリルドライバーもあります。

マキタ 10.8V ドリルドライバー

また後述しますが、ドリルドライバーにはハイパワーモデルがあり、そちらはサイズも大きめです。

 

回転数

これは圧倒的にインパクトの方が多いです。インパクトの最大回転数は約3,600回転/分なのに対し、ドリルドライバーは約1,800回転/分と倍近く違います。回転数が多ければそれだけ作業量も多いのでネジ締めなどでは非常に有効ですが、穴あけについては適正な回転数で作業することが大切なので、細かい速度制御ができるドリルドライバーの方が優れています。(この辺については後述します)

 

トルク・パワー

インパクトとドリルドライバーの違いで一番重要な部分です。モデルによって幅はありますが、標準的なものでインパクトが約180N・m、ドリルドライバーが約40N・m。インパクトはドリルドライバーの4倍以上! ・・・なんて言われることもありますが、これは力の種類が違うのでどちらが上と一概に言えません。

インパクトドライバーはその名の通り、回転に打撃を加えます。通常の回転をしている場合はドリルと変わりませんが、負荷がかかった場合は回転方向に打撃を加えて一気に切り込もうとします。その瞬間的なトルク値が約180N・mとなります。

一方、ドリルドライバーは約40N・mの力を常に一定でかけつつ回転するので、効率良く切削できます。またインパクトと違い、低速モードの方がトルクが高くなっています。

身近なもので例えるとノコギリとカッターの違いに似ていて、切るものによって使い分けるように、インパクトとドリルも使い分けが必要です。

 

得意分野

それではさらに掘り下げて、それぞれどういった作業に向いているか考えていきます。

インパクトドライバーは瞬間的な力を必要とする作業が圧倒的に得意です。主に固く締まったボルト外しですね。手で回せない程強く締まっていたり、錆び付いて外れないボルトは多々ありますが、それをこのインパクトでガッ,ガッと少しやるだけでいとも簡単に外れます。解体・撤去作業では必須です。同様にボルト締めも非常に得意です。また木材などへのビス打ち、鉄工へのテクスビス打ちも得意です。

ドリルドライバーが得意とするのは穴あけ作業です。特に硬い素材(鉄板など)に穴を空ける場合はこちらでないとできない作業が多々あります。あけた穴がこちらの方が綺麗なのも特長です。またクラッチ機能がついているのでビス止めが得意です。ただし、後述しますがこのクラッチ機能は大は小を兼ねないので注意が必要です。

 

ネジ締めはインパクト?穴あけはドリルドライバー?

この2つの違いを説明するときに、インパクトはネジ締めが得意、ドリルドライバーは穴あけが得意、一般的にこのように言われることが多いと思います。しかし個人的にこれはあまり正しくないと思っています。

まず一点として、ドリルドライバーにはクラッチ機能がついているのに、ネジ締めはインパクトと言われるのは違和感がありませんか?

そしてほとんど紹介されることはありませんが、大きな違いとしてドリルドライバーには手締め機能がついています。ドリルドライバーは回転させていない状態ではビットがロックされるので、そのまま本体を手でひねってあげると通常のドライバーのように手で締めることができます。しかしインパクトで同じようなことをやろうとするとビットが空転してしまうので締めることができません。※もしかしたらメーカーによってできるものもあるかもしれません

使ったことがある人はわかると思いますが、インパクトで締めようとしたとき、最後は丁寧にゆっくり回転させようとしてもガッと回ってめり込んだり、材料を割ってしまったりした経験があると思います。またボルト等を締め付ける際、M10の標準締付トルクは24.5N・m、M12は42N・mなのに対し、インパクトの180N・mで締めてしまうと壊れたり外れなくなってしまいます。

しかしドリルドライバーなら速度制御で非常にゆっくり回すことも可能であり、最後少し余裕を残して回転を止め、手締めで締めることができるので品質的にも完璧な仕事をすることができます。これができるのでクラッチ機能はあくまで締めすぎないための保険として利用している面が強いです。

では穴あけができてネジ締めも完璧なドリルドライバーの方がいいじゃん! ・・・となるかと言うとそうでもありません。世の中の需要や流通、実際に現場で使われているのは圧倒的にインパクトの方が多いです。理由としては、安い!早い!軽い! ということと、軽作業であればほとんどのことがインパクトで対応できるからです。

 

実際の作業範囲・得意作業

それでは実際の作業ではそれぞれどこまで行えるのか、どちらの方が優れているのかを解説していきます。

まず前提として最新のモデルではどちらもかなり進化しているので、大きさや重さにそれほど差はなくインパクトのビットのブレも低減されているので、穴あけやネジ締めはどちらもそれなりにオールラウンドでこなせます。

穴あけについてはドリルドライバーが優れているのは間違いないですが、6mm以下の穴であればインパクトでも問題なくこなせます。むしろ回転が早いインパクトの方が作業が早いです(刃焼けやステンレスは注意)。ただし10mm以上になってくるとインパクトでは打撃がかかってしまい、スムーズにあけることができなくなってきます。さらに20mm以上でホールソーなどを使ってあける場合、特に鋼材に対してはインパクトでは打撃がかかったり刃が欠けてしまったりと、頑張ってあかないことはないですが何発もあけるのには致命的に向いていません。つまり大きい穴あけについてはドリルドライバーが必要不可欠です。

次にネジ作業についてです。ネジ作業といってもネジ締めネジ打外しは別々に考えていきます。

まずネジ打外しについてはインパクトが圧倒的に得意です。ビスを打つ・外すのに回す早さも申し分ありません。ドリルドライバーについてはトルクが足りず打てない・外せないものもあったり、回転速度ではやはり劣ります。基本的にドリルドライバーでネジを打つ場合は下穴必須です。

ネジ締めはネジ山が切ってあるところにネジを止める作業と考えて下さい。こちらはクラッチがあるドリルドライバー適正なトルクで締めることができ、品質の良い仕事をすることができます。注意点として小ネジの場合は18Vのクラッチではパワーが強すぎるので、7.2Vや10.8Vを使う必要があります。一方インパクトドライバーは回転速度が早いので、とにかく数をこなす仕事に向いています。

以上をまとめると

このようになります。(個人的な見解)

表からわかるようにドリルドライバーは非常に総合力が高いですが、小さい穴あけやビス打ちなどの軽作業についてはインパクトドライバーでも十分作業ができ、なにより作業スピードが早いのが利点です。また価格が安いことや軽いこと、現場では軽作業の比率が高いことから通常はインパクトを携帯している人が多いです。またインパクトでもビスストップなるものを使用すれば、ピタッとビスが止まるので打込みすぎる心配がありません。

ベッセル ビスキャッチ

 

結局どっちがおすすめ?

プロの方については上のような特性がわかっていると思うので、両方持っている方がほとんどです。これから購入を考えている人でどちらかしかまだ買えないという方は、大きな穴をあける可能性がある人はドリルドライバー軽作業だけならインパクトドライバーがおすすめです。個人的には18Vのドリルドライバーを持っていれば、インパクトはより軽い10.8Vの方がいいかもと最近思っています。

私自身はPanasonic製を使っていますが、初めて使うなら価格も安く汎用性の高いマキタまたはHIKOKIがおすすめです。

 

またこれはあくまでプロ向けのモデルなので、DIYで購入を考えている人にはまた少しおすすめ品が違ってきます。それについては別記事で出そうかなと考えています。

以上、今回かなり長文になってしまいましたがご購入検討の参考になれば幸いです。